リゾートホテルと比べると、大都会のホテルは家族で過ごすにはいささかくつろぎにくいとお思いだろうか?ところが昨今、そうとも言えなくなっている。東京のホテルの中にもファミリーフレンドリーなサービスを充実させている、あるいは開業時よりそんな思想を建築デザインや施設設計に込めたと思わせるホテルが存在感を放っているのだ。
元気いっぱいの子ども連れから、親も一緒の孝行旅まで、ファミリートラベラーにうれしいホテルサービスを厳選してご紹介。
ルーフトップに広がるのは宿泊者のみが利用できる温水プール
TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK
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代々木公園を望む場所に建つ「TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK」。渋谷駅から徒歩15分ほどながら、スクランブル交差点周辺とはまた違う、落ち着いた空気が流れる。カフェが立ち並び、ジョギングや犬の散歩をする住人が行き交うエリアだ。
そんな同ホテルの自慢が屋上の温水プール「TRUNK(POOL CLUB)」で、一年中、朝から夜まで宿泊者のみが利用できる。朝焼けの空を眺めながら泳いだり、日中は家族で水遊びをしたり、プールサイドで読書したり。併設のラウンジではカクテルも楽しめる。人々がプールを囲んで交流する、さながら社交場のような存在だ。ホテルが掲げるテーマは「アーバン・リチャージ」。プールで過ごすうちに癒やされるのは間違いないだろう。
あえて「子供 扱いはしない」という都会派キッズサービス
ジャヌ東京
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アマンが展開する姉妹ブランド「JANU(ジャヌ)」。こんな都会派ホテルがどのようなファミリーフレンドリーサービスを?と思ったところ、想像の斜め上をゆく小粋なキッズミールを発見。子連れステイに新たな形を提案している。
全122室ながらホテル内の飲食店数は8軒と多く、実は食に注力しているのが特徴だ。写真はホテル1階にあるオールデイイタリアンダイニング「ジャヌ メルカート」のジュニアセットメニューで、メイン、サラダ、スープ、アイスクリーム、ドリンクという内容。メインは選べるスタイルで、写真は「ミニバーガー」をチョイスしたもの。玩具が付くでもなく子ども用の器を用いるでもなく、「大人と共に美食の時間を味わう」ということに主眼を置いているのだろうか。キッズミールにもホテル全体の美意識が反映されている。
温泉、畳、そして着物。大手町に息づく本格旅館
星のや東京
セレクテッドホテル
軽井沢に創業し、今や世界に温泉旅館の魅力を発信する「星のや」ブランドだが、2016年に東京・大手町の中心に旅館「星のや東京 」を築いた時は、多くの旅好きを驚かせた。玄関で靴を脱ぎ、畳に上がるスタイル。繰り返すが、東京・大手町の高層ビル街の中にあってだ。館内もほぼ畳敷きとなっていて、各階には「お茶の間ラウンジ」が設えてある。楽に着られる“キモノ”に着替えたゲストは、ここで喫茶や会話を楽しんだり、屋上にある天然温泉で旅の疲れを癒やしたりすることもできる。
イグサと木の香りがかすかに漂う館内を素足で行き交い、湯に浸かるという贅沢は、地方の宿だけに許された専売特許ではない。大都会にあっても、家族同士や友人同士との距離を自然に近づけてくれる。温泉に浸かって眺める東京の星空も特筆ものだ。
和を学び、遊ぶ。上質なエデュケーショナルアクティビティ
パレスホテル東京
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皇居外苑を望むという特別な場所に佇む「パレスホテル東京」。客室、サービス、食事、スパと、あらゆる面で最高にして最上を目指す姿勢が感じられるが、ユニークなのが多彩な宿泊者向けアクティビティだ。
レンタサイクルやモーニングヨガなどに加え、組紐体験、生け花体験、日本酒テイスティング、茶道体験なども用意されている。いずれも有料ではあるが、専門家を招いて行う本格的なカルチャースクールなのだ。
日本酒テイスティングは難しいとしても、保護者同伴であれば子どもでも参加できるプログラムもあり、折り紙教室やホテル探検、丸の内CHALLENGEと名付けられた散歩形式のクイズラリーなどは子ども向けに展開されている。ホテルでの滞在を楽しみながら、日本文化にも触れることができるのが魅力だ。
ホテル内のミシュランガイド掲載レストラン:
- エステール by アラン・デュカス/ESTERRE by Alain Ducasse (フランス料理)
- 中国飯店 琥珀宮/Chugoku Hanten Kohakukyu (Amber Palace)(中国料理)
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ホテルの客室で楽しむキッズ向けのナイトサファリ体験
ザ・リッツ・カールトン東京
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「ザ・リッツ・カールトン東京」では、他の「ザ・リッツ・カールトン」ホテルと同様、ブランド独自のファミリープラン「リッツ・キッズ・アドベンチャー」(要事前予約)が人気。朝食からナイトサファリ(写真)、エキストラベッドや子ども向けアクティビティなど盛りだくさんのパッケージプラン(宿泊する客室によって多少サービス内容は変わる)だ。
滞在中ずっとサービスが利用できる点では、家族時間を充実させたいファミリーにはぴったり。なかでも、客室内にスタッフが設置してくれるサファリ風テントは、大人であっても子ども時代のキャンプの思い出がよみがえるようなワクワク感がある。退屈知らずの東京ステイが堪能できるだろう。
ホテル内のミシュランガイド掲載レストラン:
大人も 欲しくなるブランドメイドのキッズアイテム
ブルガリ ホテル 東京
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ミラノ、バリ、ロンドン、北京、ドバイ、上海、パリ、東京、そしてローマと、世界に9軒を展開する「ブルガリ ホテルズ&リゾーツ」。ローマをルーツとするハイジュエラーから始まったブランドゆえに、キッズ向けにも「リトル・ジェムズ・クラブ」と銘打ったエレガントなサービスを準備している。内容はホテルごとに異なるが、いずれもブルガリのアイコンであるセルペンティ(Serpenti)をモチーフにしたキッズアイテムが充実しており、思わず大人も欲しくなるクオリティーだ。宿泊する客室ランクに応じて入手できるアイテムは異なるので、詳細はホテルに問い合わせを。
イタリア語で「蛇」を意味するセルペンティは、知恵や生命力、再生、永遠を象徴する存在。ブルガリでは多くのジュエリーやウォッチに幾度となくデザイン化されている。セルペンティが品よくあしらわれたキッズアイテムは、リュックやTシャツ、キャップ、ラゲッジタグ、パスポートケース、色鉛筆、パズル、塗り絵など、コレクションしたくなる多彩さ。大人もつい欲しくなってしまうのも頷ける。
ホテル内のミシュランガイド掲載レストラン:
プロジェクションマッピングで部屋も食事も非日常の空間に
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町
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「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」が得意とするプロジェクションマッピングによるサービスは、子ども連れや親同伴といった世代の異なるファミリーが一緒に楽しめるものだ。
例えば同ホテル内のメインダイニング「WASHOKU 蒼天 SOUTEN」の一室では、「IMMERSIVE DINING」というタイトルで映像と音楽を巧みに料理やドリンクに合わせたスペシャルコースを展開しており、IMMERSIVEの文字通り没入体験型の食事ができるとして話題に。アルコール、もしくはノンアルコールのドリンクペアリングが付くコースなので子ども連れというよりは大人のファミリー向けかもしれないが、そのほかにも、子連れファミリー向けには客室内でプラネタリウムが楽しめるサービスを選択する方法も。プロジェクションマッピングではないものの、映像という他とは異なる着眼点で新しいホテルの過ごし方を提案している。
Hero Image: 屋上の温水プールから代々木公園の森が一望できるTRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK © TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK