阿里山の雄大で壮麗な雲海と朝焼け、日月潭の詩情あふれる湖の輝きと山の風景 ——自然と文化が調和するこのエリアは、台湾でも屈指の人気観光地です。限られた日程でも、台湾らしい山岳風景と湖畔の美しさを存分に味わえる充実のルートをご紹介します。
Day 1
朝
台中を出発して、地元のグルメを楽しもう
まずは台湾式朝食でエネルギー補給を。台中の向上市場近くにある在来は、嘉義(かぎ)の老舗碗粿(ワーグイ:台湾風ライスプディング)店の三代目が営む人気店で、店舗は明るくモダン。店名は毎日挽きたての在来米を使った米漿(ミージャン:米とピーナッツでできた飲み物)に由来し、「またお越しください」という意味も込められています。看板メニューである碗粿は、炒めた干し大根とニンニクだれを添え、ピーナッツとカジキマグロのでんぶをたっぷりとのせた一品。地元客にも評判です。人気店のため、電話での事前予約をおすすめします。
RELATED: Restaurants for Rice-based Dishes in Taipei and Taichung
朝食後は阿里山へ。車で約3時間の道のりです。道中は山々が連なり、気温が徐々に下がっていきます。途中にある嘉義県の奮起湖(ふんきこ)は、絶好の休憩スポット。標高約1,400メートルの山間に位置し、三方を山に囲まれた小さな町です。阿里山森林鉄道の中継補給の駅として、弁当や特産品の販売で知られています。昔ながらの駅弁のほか、火車餅(かしゃへい:蒸気機関車の刻印入り焼き菓子)、草仔粿(ツァオアーグオ:客家草餅(はっかくさもち))、愛玉(オーギョーチ)ゼリーは、どれも食べてみる価値があります。雲霧に包まれる100年の歴史を持つ奮起湖老街(ふんきこ ろうがい:古い町並み)や、山の傾斜に沿って建てられた木造の駅舎は、古き良き時代のどこか懐かしい雰囲気を漂わせています。
午後
阿里山の雲霧の世界に足を踏み入れよう
阿里山国家森林遊楽区(ありさんこっかしんりんゆうらくく)の標高は約2,000~2,600メートル。玉山や雪山山脈に隣接する高山エリアです。かつて「台湾八景」に選ばれた景勝地で、夏でも平均気温は20度以下と涼しく過ごせます。日の出、雲海、夕焼け、森林、鉄道は「阿里山五大絶景」と呼ばれ、そのどれもが人々を魅了しています。
森林は標高によって植生が変化し、低地のソウシジュやクスノキから、高地のタイワンベニヒノキやタイワンツガまで、多様な植物がみられます。日本統治時代に、山々の間を縫うように建設された阿里山森林鉄道は、今では世界的にも知られる登山鉄道の一つになりました。3月から4月の桜の季節には、蒸気機関車が桜の中を走り抜ける幻想的な情景が広がります。
時間に余裕があれば、阿里山の巨木群や水山歩道を訪れてみるのもよいでしょう。沼平駅(しょうへい えき)からほど近い水山歩道では、霧に包まれた森と古い鉄道橋の風景に出会えます。終点にある水山の巨木は、樹齢が千年以上、高さは10階建てのビルに相当し、圧倒的な迫力があります。
Further Reading: On the MICHELIN Bicycle Trail in Taipei & Taichung
旅のヒント: 日の出観光列車のチケットと宿泊施設
阿里山を訪れるなら、日の出は必見です。祝山線(しゅくざんせん)日の出観光列車は「阿里山森林鉄道」からの事前予約がおすすめ。もしくは、前日に、阿里山駅の2階、または奮起湖駅でも購入できます。阿里山駅から祝山駅までの所要時間は約30分です。出発時間は日によって異なるため、前日に発表される公式情報を必ず確認しましょう。
宿泊は、駅との往復送迎サービスがある阿里山ホテルや、駅から徒歩約5分の阿里山神木ホテルなど、阿里山国家森林遊楽区にあるホテルに宿泊するのが最も便利です。真夜中に満天の星空が広がっていれば、翌朝は快晴が期待できます。澄み渡る空のもと、感動的な日の出を迎えられるでしょう。
Day 2
早朝
阿里山の日の出を見に行こう
早朝3~4時、霧が山林の間を流れ、空気が水のようにひんやりしています。防寒着を忘れずに。列車に乗ってヒノキ林を抜け、朝日鑑賞に向かいます。列車を降りたら、人の流れに沿って祝山展望台、もしくは小笠原山展望台へ進みます。
やがて地平線が赤く染まり、山頂から金色の日の光が降り注ぎます。運が良ければ、日の出と雲海が重なる壮大な光景に出会えるでしょう。雲が幾重にも重なり、ゆっくりと渦を巻く様子は幻想的です。その後はホテルに戻って朝食をとり、荷物をまとめて次の目的地、日月潭へ向かいます。
玉山国家公園を貫く、新中横公路
阿里山から日月潭までは車で約2時間半。台湾好行バスを利用すると約3時間半です。車で移動する場合、玉山国家公園の塔塔加や夫妻樹などの観光スポットを経由することもできます。写真撮影や軽い散策を兼ねて立ち寄るのもよいでしょう。阿里山、玉山、日月潭の三大観光地を巡るルートになります。山間の塔塔加ビジターセンター周辺は、秋冬になると道路沿いのシマウリハダカエデやカエデの葉が赤く色づき、息を呑むほど美しい光景が広がります。(右図:塔塔加の夫妻樹©Shutterstock)
午後
湖と山に囲まれて過ごす日月潭の午後
南投県(なんとうけん)の魚池郷(ぎょちきょう)に入ると、鏡のように穏やかな湖面と緑豊かな山々が視界に飛び込んできます。日月潭はかつて台湾最大の自然湖でしたが、後に発電用の貯水池として利用される半自然湖になりました。生態系も豊かで、サオ族の主要な居住地でもあります。清の時代の理番官(清朝が台湾の原住民を管理・同化させるための政策における官職)であった鄧傳安(とうでんあん)は、水が赤、青の二色に染まって見えることから、「日月潭」と名付けられたと記しています。水源は濁水渓(だくすいけい)の上流です。光の加減によって、日中は幻想的な青緑色に、夕暮れ時には柔らかな霧に包まれます。その様はまるで墨を散らした山水画のようです。昼食は伊達邵で。日月潭周辺で最も賑わう集落で、土産店やレストランが並びます。猪肉の炙り焼きや高山野菜、日月潭紅茶など、サオ族の特色料理を味わうことができます。その後は遊覧船で湖を周遊。伊達邵埠頭から出発し、水社埠頭で下船することもできます。船上ガイドの解説を聞きながら、湖畔の風景や歴史、伝説を知ることができます。水社埠頭には親水歩道とサイクリングロードが整備されています。角度を変えて、静かな湖景色を楽しんでみてください。
旅のヒント:日月潭に宿泊して碧い湖面に映る月を楽しもう
よりゆったりとした旅を楽しみたいなら、湖畔にあるミシュランガイド掲載のフロー デシンホテルがおすすめです。北岸の高台に位置し、大きな窓からは湖の景色の変化を楽しむことができます。客室にはテラスと温泉風呂が備わっており、旅の疲れを癒してくれます。もう一つの選択肢は、涵碧半島に建つグランドハイライ日月潭です。湖と一体化したようなインフィニティプールから、碧い湖と山々を一望できます。客室には、地下1,600メートルから引く炭酸水素塩泉が備わり、滑らかな湯が特徴です。
夕方
台中に戻り、美食で旅を締めくくろう
日月潭を後にし、台中へ戻ります。旅の締めくくりは洗練されたディナーで。台中市中区に位置するミシュラン一つ星のレストラン澀(Sur-)は、落ち着いたミニマルな空間で現代台湾料理を提供するレストラン。林佾華シェフはミシュランヤングシェフアワードの受賞経験を持ち、記憶や観察をもとに繊細な一皿を生み出しています。
ミシュランセレクテッドレストランの地坊(Tu Pang)は、クリエイティブスポット富興工廠1962の中にひっそりと店舗を構えています。料理長は地元の季節と風土を軸に、斬新なおまかせ料理を創作しています。
家庭的な料理なら、くつろげる雰囲気の裡小樓(Li Xiao Lou)へ。コーンチキンもも肉の塩焼きや、金門老譚58度高梁酒(台湾名産の蒸留酒)を使ったソーセージなどの料理は、シェアにピッタリです。羅家古早味(南屯)(Lou's (Nantun))のごま油香る地鶏スープや豚の腎臓の煮込みは、肌寒い日におすすめです。温叨(Wen Tao)では薪焼きローストチキンが名物。台湾らしい味わいが楽しめます。
Further Reading: From Oo-peh-tshiat to Offal Delicacies: A Culinary Exploration from Hooves to Beaks in Taiwan
Where to Stay in Taichung
台中に宿泊するなら、ミシュランガイド掲載のホテルがおすすめです。フェアフィールド・バイ・マリオット台中は、にぎやかな逢甲商圏(ほうこうしょうけん)まで徒歩圏内。夜市の散策やショッピングにも便利です。台中駅近くのRed Dot Hotelは、現代アートと遊び心のあるデザインで知られています。大型の金属製すべり台が印象的です。旅の締めくくりを楽しく演出してくれます。
RELATED: Hoshinoya Guguan: A Serene Hot Spring Escape in Taiwan’s Highlands
Hero image: © Shutterstock